最初は俺の事なんかこれっぽっちも眼中になかったクセしやがって……。
――体育祭。
あの時のコイツを思い出しただけで、今でも腸が煮えくり返る。
最後には、舐めプまでしやがって!
「萌えねぇけど……爆豪はやさしいから……つい話しかけちまうんだ」
ブッ、と思わず吹き出して、むせそうになった。
「は、あァ? てめェの頭ん中はどうなっとんじゃ。どーいう思考回路辿れば、んな結論に達するんだよ。意味解んねェわ」
俺の言葉にチロリとこちらを見た轟が、前へと視線を移す。
しばらく沈黙した後、「人が一番傷つくのはよ」と話しだした。
「悪態吐かれるのでも、嫌いだって面と向かって言われる事でもねぇ。……無視された時らしい。自分がまるで存在してねぇように無視されて、何も反応してもらえねぇ……そんな時なんだそうだ」
「そうだ……って、テメェ。どこで仕入れてきやがんだ、その意味解んねぇ豆知識は」
「姉さんが――。いじめとかあるだろう? 今は色々と敏感らしい。そういうのも」
そーかよ、とぶっきら棒に答えて、「どうでもええわ」と轟から視線を外す。
「俺には関係ねぇからな」
「そうだな。お前はそんな事しねぇから……。俺の事も、緑谷の事も。無視したりはしねぇ。怒って、怒鳴って、反論して。でも俺は……しちまったから。お前に――」