かっちゃん僕はッ、君を応援したいんだッ!! 4


 

「爆豪ッ!」

 

 轟くんが、咎めるようにかっちゃんの腕を握る。

 

「お前さっきから。緑谷にあたるなよ」

 

 けれどその手はすぐさま、舌打ちと共に振り払われた。

 

「ウッセ!! テメェら二人ともウゼェわッ!」

 

 もうついてくんな、とエレベーターへと乗り込む。振り返る事なく扉は閉まり、上がっていった。

 

「かっちゃん!!」

 

 このまま一人にしたらダメだと、心の内の僕が訴える。

 

 その声に従って走り出し、階段を駆け上がる僕に、「おい、緑谷」と轟くんが続いた。

 

「……わりぃな、緑谷。俺と爆豪の事で、お前にまで嫌な思いさせちまって」

 

 隣に並んで駆け上がる轟くんの言葉に、息が詰まる。

 

 

 

 ――俺と爆豪の事で。

 

 

 

 その、彼にしたら何気なく言っただろう言葉が、ゆっくりと――ゆっくりと。

 

 僕の胸を締め付けていく。

 

「う……ううん。かっちゃんが、先に轟くんに嫌な思いさせちゃったんだもん。謝るのは、こっちの方だよ」

 

「え?」

 

 言ってから、「しまった!」と思った。

 

 一緒に階段を駆け上がる、轟くんの視線を横から感じる。

 

 ――なんで緑谷が謝るんだ?

 

 僕が見返せない『彼の視線』はきっと、そう言っているから。

 

 もし、口に出されてしまったら……。

 

 

 

『だって僕、かっちゃんの幼馴染だから』

 

『僕がいた事できっと、かっちゃんの怒りを煽っちゃったから』

 

 

 

 幾つかの言い訳を、即座に考えてみる。

 

 けれどもどれも、不自然で。

 

 轟くんを納得させられるとは思えなかった。

 

 

 けれど。

 

 

「…………そうか」

 

 轟くんはそれだけを呟いて、顔を前へと戻した。