かっちゃん僕はッ、君を応援したいんだッ!! 5


 

 階段を駆け上がって、辿り着いた四階の廊下。

 

 自室へと向かう、かっちゃんの背中が見えた。

 

「かっちゃんッ!!」

 

 叫んだ僕の声に、ピタリと足を止める。

 

「………………」

 

 けれどもかっちゃんは振り返る事なく、再びそのまま足を踏み出した。

 

「こんの……、分からず屋……ッ!!」

 

「アアァァッ!?」

 

 横顔だけで、かっちゃんが僕を睨む。

 

 眉間にこれ以上ないくらい皺を寄せて、口を歪めて。

 

 いつもの僕なら、ビビッてしまう表情だ。

 

 かっちゃんもそれを知っている。

 

 だからこそ今、その表情で僕を睨んでいるのだろう。

 

 だけど僕だって、引くべき時じゃない場面くらい知っている。

 

 今がその時だと、確信していた。

 

「かっちゃん! 話さないとダメだッ!! 今、轟くんと! じゃないときっと、後悔する!!」

 

 ギリッと歯を食いしばったかっちゃんが、「黙れ」と低く言う。

 

 聞き取れない程の低い声。爆発する寸前の、本気でかっちゃんが怒る直前の声だ。

 

「テメェには関係ねぇだろぉが」

 

「関係なくなんかないッ! かっちゃんは僕の――」

 

「黙れやデクゥゥゥーッッ!!」

 

 かっちゃんの足が、床を蹴る。次の瞬間僕の目の前に立って、僕の胸倉を掴みあげると捻るようにして僕の背を、壁へと叩きつけた。

 

「何回も言わせてんじゃねぇよ、クソナードがァァッ」