かっちゃん僕はッ、君を応援したいんだッ!! 6


 

 怒りのままに睨みつけてくるかっちゃんを、睨み返す。

 

 震えようとする足を、懸命に踏ん張った。

 

 

 

 今、座り込んじゃいけない。

 

 負けちゃいけない。

 

 あの時のかっちゃんが受け留めた怖さに比べたら。痛みに比べたら――。

 

 こんなの全然、へっちゃらだった。

 

 

 

 あれは、まだ僕等が小学校に上がって間もない頃。

 

 オールマイトの話で盛り上がって。

 

 僕達は公園を駆け回っていた。

 

 どんくさい僕は、柄のよくない中学生にぶつかって。

 

「ご……めん、なさい」

 

 謝ったけれど、震える僕の声は彼等には聞こえなかったようだった。

 

「あぁ? どこ見てんだガキ!!」

 

 ドンッと押されて、僕は尻餅をついて。

 

 僕の手から落ちたオールマイトの人形は、中学生に踏ん付けられた。

 

「謝れ!!」

 

 恫喝する声に、他の子達はビビッて逃げて。

 

 だけどかっちゃんだけは、その場に留まった。

 

「やめろやッ!!」

 

 オールマイトの人形の上に乗せられたままの、中学生の足に飛びついて引き剥がそうとする。

 

「さわるなガキッ!」

 

 中学生が振り払うように、かっちゃんを蹴った。

 

「いっ……」

 

 蹴った足が、鼻へと当たって。

 

「かっちゃん!!」

 

 僕の隣に転がったかっちゃんが、体を起こす。

 

 鼻からボタボタと落ちる鼻血に、僕は震えが止まらなくて。

 

 けれどもかっちゃんは、ごしっ、と腕で血の出てる鼻を擦ると、僕を庇うように前へと立った。