ピタリと止まったかっちゃんが、ゆっくりと顔を振り向けてくる。
それはいつも以上に、僕への侮蔑と、嫌悪を含んだものだった。
「なんだ、いたんか」
お前の存在なんかに興味ねぇわ、と言いたげな台詞に、目を瞠る。
彼の顔は本当に――僕の事が嫌いなんだと判る、表情で……。
「おい爆豪。さすがにその言い方は」
「あぁ?」
かっちゃんの怒りは、再び轟くんへと向く。
ああそうか、とかっちゃんが口許を歪めた。
「『親友』は、そっちだったな」
――勝手に馴れ合ってろや、気色ワリィ。
悪意に満ちた言葉に、僕の隣で「ちっ」と小さく轟くんが舌打ちしたのが聞こえた。
「ったく、どうしてお前はそうなんだ」
くしゃりと苛立たしげに頭を掻いた轟くんを、僕は信じられない思いで見つめる。
普段、他人に無関心な彼が、本気で怒りを露わにしていた。
爆豪、と。
踏み出そうとする轟くんを、横へと手を突き出して制する。
「緑谷……」
驚いた顔で見てきた轟くんに目を向けてから、かっちゃんを見た。
「かっちゃんがなりたいのは、轟くんの親友なの?」
僕が言った途端、サッとかっちゃんの顔色が変わる。ギロリと赤い瞳を向けてきた。
「……ウッセェッつっとんだ。クソナードがァッ!!」
コロすぞ、と云わんばかりの声で言い放った。