かっちゃんは、良くも悪くもいつも受け身で。
自分からは、誰かを求めたりなんかしなくて。
それは一人でも完璧に見える彼には、当然の事だったのかもしれない。
それでも決して、「性格が良い」とは言えない彼の周りには、何故だかいつでも人が集まっていく。
受け身なかっちゃんが、そうなくなる『唯一』の相手が僕で。
侮蔑と、嫌悪感と。
見下す赤い瞳は、決して羨ましがられるようなものではなかったけれど。
それでも彼から『特別』を得ていた僕は――「かっちゃん」と、今でも呼ばせてもらえる僕は、少しの寂しさと、優越感とを……覚えていたんだ。
だけど――。
「敵わねえんじゃって、思っちまった……!!」
「宣戦布告する相手を間違えてんじゃねえよ」
――「俺を見ろ」と。
彼が初めて、『執着』を見せた。
才能溢れる彼があんなにもがむしゃらに、必死に、誰かを求めたのは初めてで。
僕は頭では処理しきれない程の衝撃を、覚えずにはいられなかったんだ。
むず痒いような、チリリとした、不快な胸の痛みを抱えながら。
あれから僕は、かっちゃんと轟くんを見ていた。