かっちゃん僕はッ、君を応援したいんだッ!! 2


 

「あ、かっちゃん。轟くん。おかえ、り……?」

 

 夕刻。

 

 補講先から寮へと帰ってきたかっちゃんが、僕には見向きもせずに前を通り過ぎてゆく。

 

「もうすぐ夕食の時間だ、けど」

 

 何かあったの? と含んだ僕の顔を、かっちゃんを追って前を通り過ぎる轟くんが目だけで見返した。

 

「ああ」

 

 小さく僕に答えて、けれども轟くんの視線は、すぐさまかっちゃんへと戻される。

 

「おい、爆豪。さっきの」

 

「うっせーなッ!! ハゲに相談すりゃいいだろが。親友なんだろ?」

 

「いや、あいつとは親友じゃねぇ。親友ってのはもっと――」

 

「どーでもええわ! 何回言わせんだ。とにかくあのハゲと話せや。話しかけてくんな!!」

 

「さっきから……なに怒ってんだよ爆豪。俺、なんかしたか?」

 

 ギッ、と。

 

 かっちゃんは轟くんを強く睨んでから、顔を逸らした。

 

「心当たりねェなら、それでいいだろが。とにかく俺に話しかけんなッ!!」

 

「……わりぃ」

 

 グッと、かっちゃんが歯を食いしばる。

 

「ワリワリワリワリ……バカのひとつ憶えみてェに、テメェはよ――」

 

 何ひとつ理解してねェくせしやがって、と悔しそうに洩らした。

 

「とにかく話しは終わりだ。ついてくんな」

 

 背を向けたその声が、微かに震えている。

 

「かっちゃんッ!!」

 

 そのまま行かせたくなくて、僕は大きく声を張り上げていた。