「1人で持って帰れるか?」
立ち止まり訊いてきたミケに「ああ」と短く答え、リヴァイはミケが持ってくれていた袋を受け取る。
「鍵は職員室に返しておくから、調理室で作ってから持って帰っても構わないだろ?」
光熱費もバカにならないんだ、と肩を竦めたリヴァイに、何かを言いかけミケが口を閉ざす。
何を言いかけたのかは知らないが、言いたかっただろう事とは別だと思える言葉を口にした。
「……構わないが、ヤケドには気をつけろよ」
お前はたまに抜けている時があるから、と小さく笑う。
「どこか! ヤケドだって1度だけじゃないか」
「1度でもあるなら、大口を叩ける立場ではないな。とにかく気をつけろ」
「信用ないんだな。クソが」
視線を逸らせ舌打ちしたリヴァイに、ミケがふっと笑み零した。
「なんだ。まだ何か笑うネタでもあったか」
不満そうなリヴァイに「いいや、懐かしかっただけだ」と足を止める。
「なんだそりゃ?」
しかし足を止めたままのミケは、リヴァイの声に答える気はないらしい。それどころか、今まで会話していたのを忘れたかのように動かなくなった。
「?」
行方不明者の貼り紙をじっと見つめて動かなくなったミケの顔を、「どうした?」と覗き込む。